1. /
  2. 事例紹介
  3. /
  4. 近畿
  5. /
  6. 京都府
  7. /
  8. データ/分析
  9. /
  10. 人流データ
  11. /
  12. 観光
  13. /
  14. 地方自治体
  15. /
  16. イベント
  17. /
  18. 祭り
  19. /
  20. 地域
  21. /
  22. 混雑緩和
  23. /
  24. 「使ってよかった」の声のために|京都市・祇園祭宵山ガイド、公式マップだからこそできること

「使ってよかった」の声のために|京都市・祇園祭宵山ガイド、公式マップだからこそできること

宵山ガイドの紙版を手にする常木大輔さん
常木
常木大輔さん
京都市 産業観光局 観光MICE推進室 魅力活用推進係長
常木大輔さん
2025年より祇園祭宵山ガイドの担当に着任。大学で日本史を専攻し、かつて一参加者として宵山を楽しんだ経験を原点に、現場目線とデータ分析を取り入れたマップ改善を推進する。
Mas
株式会社Stroly/取材・進行
Mas
ライター/エディター。入社半年のフレッシュな視点でStrolyの活用事例を深掘りし、たくさんの人に伝えるのが仕事。
Kubo
Kuboの似顔絵
株式会社Stroly/ディレクター・データ分析担当
Kubo
制作ディレクター。地図の制作からクライアントとのやり取りまで幅広く担当。マップをより良くするアイデアマンとしても大活躍。

日本三大祭りのひとつとして国内外から数十万人が集う、京都・祇園祭の「宵山」。華やかな山鉾が立ち並ぶ四条烏丸周辺は熱気に包まれる一方、混雑や複雑な歩行者一方通行規制への対応、そしてゴミや熱中症対策といった安心安全で快適な環境の維持・確保が求められています。また、コロナ禍後の密を避けた観光や来場者への情報提供の充実が課題となっていました。
こうした課題を解決すべく、京都市では2022年からStrolyを活用した「祇園祭宵山ガイド」を導入・継続運用しています。2025年に着任した担当の常木さんは、2026年のアップデートにおいて、現地での利用状況を踏まえながら改善を担当。紙マップとWebそれぞれの特性を踏まえた情報提供のあり方を検討し、来場者にとってより使いやすいガイドとなるよう改善を進めました。

祇園祭宵山ガイド2026 前祭マップ
前祭 祇園祭宵山ガイド2026

祇園祭宵山会議公式デジタルマップ。京都・祇園祭 前祭の宵山期間中、各山鉾の場所・解説をはじめ、リアルタイム混雑情報や臨時便情報を掲載。歩行者一方通行の案内やライブカメラ、ゴミステーションの配置などを網羅し、混雑緩和と快適な観覧をサポートします。

マップを見る →

祇園祭参加者から担当者へ「10年前の自分に教えてあげたかった」
Mas

常木さんは2025年から「宵山ガイド」を担当していただいています。本日はマップをどんな視点でアップデートしてきたか、実地でどう活用しているかなどのお話を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

常木

よろしくお願いいたします。

Mas

常木さんは、元々京都のご出身ですか?

常木

いえ、出身は群馬県なんです。ただ、大学時代に日本史を専攻していて、先生が祇園祭のお手伝いをされていた関係で、大学3回生の頃に一緒に参加したのが最初の関わりでした。その頃から祭りの文化や歴史についても深く興味を持って学んでいました。京都市役所の別の部署にいた頃も、一般人として普通に宵山を楽しんでいたんです。まさか自分が担当になるとは思ってもみませんでした。

Mas

参加者として宵山を楽しまれていた当時、どんな印象をお持ちでしたか?

常木

とにかく「混んでいる」こと、そして「楽しい」ことですね。京都の歴史や文化が好きだったので、大学の授業で学んだ歴史ある文化が、生きた形で受け継がれている光景を目の当たりにできるのは本当に面白かったです。

Mas

そんな常木さんが担当に着任され、初めてStrolyの「宵山ガイド」をご覧になった時、率直にどんな感想を抱かれましたか?

常木

率直に「10年前の自分に教えてあげたかったな」と思いました。当時はどこに行っていいか本当に分からなかったので。自分が担当になってマップを見て、「あ、こんなものがあるんだ」「初めての人や祭りに慣れていない人がこれを見たら、絶対に動くのが楽になる」と思いました。

参加者目線で感じた課題を反映した「一方通行」の可視化
Mas

2025年のご担当1年目は、どんなアップデートをされたのでしょうか?

常木

イラストは前年からほとんど変わっていません。2025年はゴミが課題になっていたので、注意事項(お願い)の部分を大きく、細かく書き、凡例でもゴミ箱の情報を充実させました。

Kubo

Web版では、熱中症への注意を赤字で流れるように表示したり、各駅の1日乗車券の情報を追加したりと、Webだからこそ届けられる情報を足していきましたね。

常木

Kuboさんからご提案いただいて、「めっちゃいいんでやりましょう」と(笑)。2025年はWebのコンテンツを充実させた年でした。

祇園祭宵山ガイド2025年版
Mas

25年に改善したマップを実際現地で使ってみて、「もっとこうした方がいいな」という気づきのようなものがあったのでしょうか?

常木

それがまさに、2026年のアップデートで実現した「一方通行の可視化」です。宵山の現場では警察による歩行者一方通行規制が敷かれますが、進行方向がとにかく分かりにくい。実際に現場で使ってみても、現場とスマホの画面のあいだに乖離が起きていました。あらかじめどっちに行けばいいか予測して動けないと、特に四条烏丸の付近では身動きが取れなくなってしまいます。

Kubo

2025年までは、マップ枠外の下部に一方通行の説明テキストを掲載していましたよね。地図のイラスト上で表現しているのは、「どこが混雑しているエリアか」ということまででした。

常木

そうなんです。枠外の説明を実際の道とリンクさせるのは、京都に馴染みがある方なら通り名で理解できますが、慣れていない方にはかなり難しいことだと思います。やはり一目でわかるイラストで描くことの重要性を感じました。

元々あった25年の「混雑エリア」の表示は「避けてもらう」という趣旨の表現で、それはそれで大事な考え方です。そこから一歩進めて「混雑の中でも、進行方向を予測しながら動ける」ように、紙版の事業者さんやKuboさんにも相談して、地図上に直接矢印を描く形へ改良しました。

Mas

矢印が入ったことで、直感的な歩きやすさが格段に向上しましたよね。

紙マップのデザインも大きく変わり、わかりやすくなったと伺いました。

常木

紙版ではユニバーサルデザインを意識したフォントに変え、文字の白抜きをやめました。白抜き文字だとぼやけて読みにくいというお声があったためです。情報量が多いため文字は小さくなりがちですが、どの年代層の方でもパッと見で判読しやすい視認性を意識しました。

さらに、四条駅に人が集中して駅が混雑するのを少しでも防ぐために、五条駅で降りて歩いてもらうことも選択肢に加えてもらいたかった。2026年版ではマップの掲載範囲を五条駅まで広げ、スポット情報にも五条駅からの案内を入れました。

Kubo

Web版では、京都市で設置しているライブカメラからの導線を拡充しました。京都駅の混雑状況がリアルタイムで分かるようにし、そちらも移動の選択肢に入れてもらえるようにしました。

2025年版と2026年版の比較
ビブスQRから実地踏査まで、現場密着の雑踏対策
Mas

常木さんは宵山当日、実際に現場にも出られているのですよね?

常木

はい。四条烏丸付近に本部テントを構えています。宵山会議の任務として、ガイドの発行だけでなく、現場でプラカードを持って進入禁止や一方通行を案内する誘導員の配置・運営も担当しています。

Mas

誘導員の方々のビブスにも、QRコードが付いているそうですね。

常木

誘導員が着用するビブスの前後に、以前から宵山ガイドのQRコードを付けています。「来場者から道を聞かれたら、ビブスのQRコードを読み取ってもらうように案内してください」と私たちからもお願いしています。それがうまく伝わって、去年よりアクセスが増えているのかなと思います。

Mas

当日の混雑状況も、常木さんご自身で歩いて確かめられたそうですね。

常木

私を含めたチーム3人で、あえて混雑ピークの時間帯にGPSをオンにして歩きました。「紙だけで回る人」「Webを見る人」「混雑の有無」など、条件を分けて実地検証したんです。出た結論は「矢印はもう少し細かいほうが分かりやすい」「やはり紙の役割もある」ということ。そして痛感したのは、ピーク時の現場はスマホ画面をゆっくり見る隙間すらないということでした。

だからこそ、昼の早い時間帯からマップを見ていただくことや、旅マエの段階でマップを知ってもらう動線が重要だと実感しました。

宵山ガイドのQRコードを付けた誘導員のビブス
約30種類のQRコードが明かした人流データとタッチポイント戦略
Mas

2025年から2026年にかけては、データ分析の面でも大きな進化がありましたね。

Kubo

2025年度はまだ、京都駅など主要な駅からの流入効果を測れていませんでした。そこで2026年は、春先から常木さんと相談し、QRコードを約20種類に細かく分けてパラメーターを設定。その結果、京都駅や四条駅からの流入や、GPSをオンにしたユーザーの移動傾向がはっきりと見えるようになりました。

常木

データはだいぶ見えるようになりました。これまでは閲覧数の報告にとどまっていたので、こうした形でデータを受け取るのは今回が初めてです。

一方で、宵山全体の来場者数の伸びに対して、デジタルマップの利用にはまだまだ伸ばせる余地があることも見えてきました。

Mas

来年に向けた改善について、どんな議論があったのでしょうか?

常木

会議で出た「マップを見るのは待っている時である」という言葉が非常に腑に落ちたんです。時間に追われて歩いている最中にスマホをじっくり見る余裕はありません。では、待ち時間が発生する場所はどこか。それは「電車内」「駅」「バス停」なんですよね。

Kubo

今回のデータでも、四条駅に設置したQRコードの反応が突出して高かったですね。

常木

ええ。四条駅に置く意味の大きさがデータでわかったので、今後は四条駅付近に紙マップやサイネージの設置を集中させるのが有効だと考えています。来年は京都駅と四条駅のQRコードをさらに細かく分ける予定です。

また、デジタルサイネージの放映方法も見直しました。以前は15秒の枠内で日本語と英語を4秒ずつ切り替えていましたが、切り替わりが早すぎて読めない。そこで「15秒1本・日英併記」に変更し、余計な説明を省いて「QRコードを読み込んでWebマップへアクセスしてもらうこと」に特化したクリエイティブに作り替えました。

データがあって検証ができると、次のさらなるアップデートにつながるので、そこは必須だと思っています。

駅のサイネージ
※画像は2025年度のものです。
「他のマップにはない価値を」唯一無二の公式マップとしての矜持と未来
Mas

今年はインバウンド(訪日外国人)のアクセスも大幅に増加しましたね。サイネージの工夫もその一因かもしれません。常木さんはどう分析されていますか?

常木

母数、つまり全体の観光客数が増えたことがまず一番大きいと思います。

Kubo

あとは、海外の方が普段使っている汎用的なマップでは、山鉾の場所のように祇園祭の期間にしかない情報が分からないんですよね。現在地からどれくらい近いのかを確認するニーズは大きいと思います。それに、宵山会議の公式マップであること。自分が海外に行ったと考えると、やはり「公式」は信頼性が違いますよね。

常木

確かに、その時期にしかない情報なので、ほかのマップを見て終わりにはできない。祇園祭をテーマにした様々なマップがある中で、ほかの地図では分からない情報がここにはあります。紙には紙の、WebにはWebの良さがあるので、それぞれが役割分担をしながら、ユーザーが今求めている情報へスムーズにアクセスできる形を追求していきたいですね。

Kubo

2026年版では、スポット内に「祇園祭 特設ガイド」の項目を追加して、「歴史・文化」や「マナー・モラル」などの情報に、よりアクセスしやすいよう設計しなおしました。道案内としての役割だけでなく、名前の通り、お祭りの「ガイド」としても活用していただきたい。旅マエにじっくり眺めることで、よりお祭りを楽しめるマップになっていると思います。

Mas

私自身、このマップで知った情報がとても多く、祇園祭へのイメージも変わりました!

常木

旅マエに「この鉾を全部回るにはどういう順番で行こうかな」と想像するだけでも楽しいかもしれないですね。

宵山ガイドのスポット画面
宵山ガイドのスポット画面

各スポットを選ぶと、山鉾の由来や、祇園祭の歴史を知ることができる

Mas

「宵山ガイド」にしかできないことを今後も追求していきたいですね。さらに挑戦してみたい機能や展望はありますか?

常木

一方通行規制に沿ったルート検索ですね。一方通行規制は非常に複雑で、祇園祭の期間中、日や時間によって通行できる方向が変わります。現在の徒歩ルート表示をさらに進化させて、規制の時間帯には一方通行に正しく沿ったルートが提示できるようになれば、雑踏警備対策としても心強いと思います。

Kubo

誘導としてすごく良いですね。一時的な一方通行の情報をどう反映させるかが課題ですが、実現できたらすばらしいです。

常木

一方通行を守ってもらう、分かりやすくするというのは、今後もテーマとして取り組んでいきたいですね。

Mas

一緒に制作を進めるなかで、お困りごとはありますか?

常木

無いですね。すさまじくレスポンスが早いので。新しい機能のアイデアも、ブレストしながら一緒に考えていければと思います。

Mas

そういっていただけるとホッとします(笑)最後に、このマップを手にする来場者へのメッセージをお願いいたします。

常木

このマップを手に取っていただいた方に、「使って本当によかった」と思っていただけることが一番のやりがいです。混雑を上手に回避しながら、各山鉾の歴史や文化といった奥深い情報に触れ、宵山を心から楽しんでいただければこれ以上の喜びはありません。

祇園祭宵山の様子

※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

Read more!

一方通行表示と細かなパラメータ設定の効果は?
人流データの分析結果を解説しています。

詳しい実証レポートをみる →
CONTACT

地図の力で、
街の「未来」を
デザインする。

「この街の魅力をもっと伝えたい」。その想いこそが、未来を変える原動力です。Strolyと一緒に、デザインとデータの力で地域社会をより元気に。世界にひとつだけの地図を形にしませんか。

お問い合わせ

関連記事